夢実現へアクセル全開!「WOOPの法則」の真髄②

熱く思い描いても叶わなかった夢だったのに、夢へ進むブレーキをはずすのが前回のブログ『夢実現へのブレーキはずす「WOOPの法則」の真髄①』でした。

「WOOPの法則」提唱者 ガブリエル・エッティンゲン博士が見つけ出し、応用した「メンタル・コントラスティング」は夢に向かう人のマインドを整えるとても強力なメソッドとなりました。このステップをたどるだけでも、夢や目標を達成する確率は何もしない場合の1.5倍になりました。

「何もしない場合」ですから、夢や目標の達成をポジティブに夢見てマインドを消失させてしまっていた人からすれば、この方法に切り替えただけで、目を見張る効果が表れました。

でもここで、さらに素晴らしい成果を生み出す人々が表れました。

「これは一体どういうことだろう。著しい成果を生み出す人々は、普通の成果を生み出す人たちと何が違うのだろう?」と。ガブリエル・エッティンゲン博士は「このメソッドはもっといける!改善する余地がある」と理解しました。

そこで夫も心理学の分野の研究者であったので、臨床結果などを見てもらい相談に乗ってもらいました。

アクセル全開で夢実現へ!
インプリメンテーション・インテンション

夫でもあるペーター・ゴルビッツァー博士によると、目標達成において「〜であれば(〜なので)私は___する」という一文を作成すると、目標達成がぐっと高まるという研究を行い、そのメソッドを「インプリメンテーション・インテンション(実行意図)」と呼んでいました。

日本語には「意図の実装」とも訳せるインプリメンテーション・インテンション。この分野の国際的な第1人者でもある彼によると、著しい成果を上げた人たちは、メンタル・コントラスティングとインプリメンテーション・インテンションを同時に行っていたことがわかりました。その結果、夢や目標を達成する確率は何もしない場合の3倍以上になっていました。

※ 動画では「動機づけの実装」と語っていますが、むしろ「動機づけ」そのもの。英語だと、自分の脳へ自覚して意識的にプログラミングするイメージなので、IT用語のインプリメンテーション(実装)を加えたかったのでしょう。いづれ本人に確認してみます。

1990年代、それぞれ妻ガブリエル・エッティンゲンと夫ピーター・ゴルビッツァーが別々に行っていた研究を統合してくことになりました。

その結果は、この統合された画期的なメソッド体験者たちは、目標達成確率のアベレージが通常の3倍!まるで「赤い彗星」になったかのような成長曲線を描くという、猛烈な成功体験を叩き出すことになりました。

こうして夫婦共同で生み出された画期的な夢目標実現メソッド、「WOOPメソッド」、日本語訳では「WOOPの法則」が生み出されました。

WOOPでは、WのステップとOのステップで夢や目標を明確にして、次のOステップでメンタル・コントラスティングを行います。そうして出てきた、自分が発する内なる障害が、もし出現したら私は__するという一文になるようにします。

詳しい方ならお気付きの通り、インプリメンテーション・インテンションは「IF-THENルール」や「IF-THENプランニング」と呼ばれたり「意図セット」と呼ばれています。

「WOOPの法則」は2021年現在、35年に渡るモチベーション研究の集大成であり、夢目標達成の分野でおそらく最強の方法だと言えるでしょう。

夢実現ブレーキを外せ!「WOOPの法則」の真髄①

少し前まで、自分の成功を夢見てその夢に没頭し、ありありとその世界を思い描いて没入すれば夢は叶うと信じられていました。でもそれは「間違いだ」ったとやる気の研究からわかり、今、多くの教育者がやり方を見直しています。

誰もが自らの体験からなんとなくわかっていたのに、ポジティブ思考が夢の実現に近づくとどうしてこんなにも信じられていたのでしょうか?

「そうしたほうが楽だから。」というのがその答えです。

夢を叶えようと具体的に動き始めると、実際にはまだ行動していないくても、自分の頭の中では動き始めています。するとその人は自分自身の「マインドを変化させないといけない」と気付きます。

すると自分の心の奥底で、あなたを暖かく見守っている潜在意識が警報ボタンを押します。

「緊急指令!直ちに夢の実現を阻止せよ」

警報音が鳴っているのに、その警報を発している本人自身の耳には聞こえないように、気付かれないように夢を描く人の脳内で鳴り、行動を阻止しようとします。

これを「潜在意識の現状維持機能」と言います。「ホメオスタシス・フィードバック」とも言います。

脳には命を維持するため、一定に保つ機能があります。この機能が働き脳が暴走するのを防ぎます。これが命を保護する役目となって心の安定と平常心を保たせてくれます。

こんな機能が存在する脳の部位はとても臆病で、慎重な性格です。ちょっとした変化も嫌います。寒暖差で体温調整したり、心臓の鼓動や息遣いを激しくしたり静めたりもします。

この潜在意識の現状維持機能、難しい表現なので親しみやすく「ゲンさん」と呼びましょう。ゲンさんは超ビビリで、あなたが夢を描くとすぐ「やめとけ」と止めにかかるのです。

「そうしたほうが楽だから。」と。

心の闇に光を!WOOPメソッドの真髄
メンタル・コントラスティング

こんな超ビビリなゲンさんなのですが、実はあなたのことが大好きで、片ときもあなたのことを忘れません。24時間365日ずっと寝ないであなたを守っています。なので、ビビリなゲンさんの存在を無視して生活していると、やがて「体調不良」という自己主張をしてきます。

「今は心の時代」「心の声を聞いてあげましょう」と言われますが、なかなか出来ない世の中。でも2021年を迎え、時代は大きく変わりました。

WOOPはそんな時代のニーズに応えます。

自分の内なる心の声を聞いて、本当の自分自身を知るための方法なのです。

自分の内なる心には「光」の部分と「闇」の部分があります。頭の中で自由に想像し、なりたい自分を描きます。高い目標を実現していきます。ワクワクしたりドキドキしたり充実した気持ちになります。もう夢が実現したかのような報われたような気持ちになれます。こんなふうに夢に「光」が当たります。

一方、「闇」部分ではその逆のことが起こるようです。いったいどんな逆のことが起こるのか正確にはわかりません。でもその存在を認め、自分の心の奥にある「闇」に自分自身で問いかけると、少しづつその姿を現してくれます。

こうした心の「光」と「闇」の比較、これを「メンタル・コントラスティング」と言います。

自分の心に「光」夢や目標を思いに描きを心の明るさを経験した後、心の「闇」に光を照らし、どうしてビビっているのかちゃんとわかってあげると、ゲンさんが緊張を解いたと自分自身で体感できます。すると自然と心が軽く穏やかになれます。

これができると、「他人事」に感じていた自分の夢や目標を潜在意識が受け入れて「自分事」になり、ブレーキが外れて前進できる心の準備が整います。

夢の実現を邪魔するのは自分

ポジティブ思考が夢の達成にどれほど役立つ?

そんな素朴な疑問を持って始めた研究が、実は真逆の結果が出るとは博士自身も予想していなかった。1985年当時は「西ドイツ」と呼ばれた地域出身の心理学者ガブリエル・エッティンゲンは、「人は積極的に夢を描くなら、人は夢を実現するように突き動かされる」と考えていた。

そんな研究を始めたきっかけは東西冷戦時代と呼ばれた社会秩序のもと、共産主義の東ドイツと民主主義の西ドイツを、心理学者という立場である程度自由に行き来ができたがゆえの気付きが発端だった。

自由の制限された東ドイツのバーカウンターで、「画家」と称するひとりの男が夢を描いていた。「いつかパリへ行き思いの向くまま気の向くまま好きなだけ描きに行くんだ。ルーブル美術館にも通うぞ!」と。

芸術活動すら制限されていたイデオロギー下、繁栄していると思われていた共産主義の東ドイツから出ることも簡単には出来ない環境下で、彼はポジティブな空想だけを頼りに、希望を捨てていなかった。それどころか、冷静に考えれば過去と今の厳しい現実を考えると、あり得ないところまで将来の夢を膨らませていた。

命の危険が迫るなか、あり得ないほど現実離れしたポジティブな空想が夢を描いた人と周りにいた人々を元気づけ、生きながらえたという話はよく聞く。それはまるで人間の性(さが)であるかのように思える。

でも、そうではない状況で、目標を達成している自分や夢を叶えた自分を、あり得ないほどの大成功を誰にも邪魔されず好きなだけ思い描くなら、その思考は人に影響を与えるのだろうか?

ガブリエル・エッティンゲン博士は研究を開始して、確かに影響することを突き止めた。だがそれは、私たちが期待してたものとは異なる、全く正反対の答えを導き出すことになった。

夢の達成にポジティブ思考は役立たない。

ポジティブ思考はきっと良い影響を及ぼすだろうと期待して始めた研究だったが、出てくるエビデンス(科学的証拠)は次から次へと全く正反対のものだった。

減量プログラムに參加する26人の肥満女性たちに、プログラム開始直前にアンケートの名目で「自分はどれほどダイエットに成功するか?」という設問と「どれほど成功するか?」という自分の成功イメージを具体的に文章にするよう促した。

「私はダイエットに成功する」ポジティブなグループと、「私はダイエットに失敗する」ネガティブなグループで比較した場合、確かにポジティブグループはネガティブグループよりダイエットを12㌔㌘多く成功させていた。

でも肝心なのはここからで、失敗する可能性を想像したポジティブグループと、まったく失敗しないと想像したハイパーポジティブグループとで比較した。それは驚くべきものだった。

なんと、ハイパーポジティブグループは平均1㌔㌘程度しかダイエット成功の平均体重に貢献出来ていなかったようなのだ。一方、失敗する可能性を想像したポジティブグループは23㌔㌘ということになる。合わせて平均12㌔㌘…なんということだ。

その後も様々な年代層に、就職、恋愛、病後のリハビリ、教育効果、麻薬中毒からの更生といった幅広い状況で、同様の結果が出た。もう誰もその研究結果を否定できない程になった。

ポジティブ思考は人が極限の状況に追い込まれたとき、そこで粘り、耐え、我慢し、生き抜くのには効果的なようだ。自由に描く夢は創作活動には欠かせない。自分が本当に望む生き方はどんなものかを探し見つけるのにも役だつようだ。だたし、ポジティブ思考はそのためのもの。

自分の大きな夢を実現させたい人が、その成功を、大成功を思い描き、全く失敗しないで夢を実現させることができると思い描くその夢は、現実離れすればするほど、その人自身の夢実現になんの役にも立たないか、むしろ夢達成の邪魔をする。

30年以上の長期間に及ぶガブリエル・エッティンゲン博士の研究は、最新の夢や目標達成支援のための教育プログラムを根本から改革するよう、人々を動かすことになった。

では、いったいどうすればよいのか?

参考記事

夢が人生に悪影響?